殺人症候群

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貫井徳郎の失踪症候群、誘拐症候群の3部作を締めくくるこの殺人症候群。文庫化されていないため読みたくてもなかなか手が出なかったのだが、出張の合間の休日で一人でなにもすることがないため宿泊先の近くにあるブックオフに入ったところ運良く手に入れることができた。
シリーズを締めくくるに相応しいボリューム、しかしそのボリュームに反するように読者を次へ次へと引き込んでいく内容はさすが貫井徳郎といった感がある。
内容は、ようやく日本でも少し目が向けられるようになってきた犯罪被害者の保護と近年凶悪化が進む未成年犯罪をキーとした重いものである。日本では犯罪において、何かと加害者を人権だ なんだと保護するが、被害者に対する保証などは何も無いに等しい。そして加害者が未成年者や病気などでほとんど罪に問われることがない場合、被害者の心中は...。
本書はこのような犯罪の闇の部分に焦点をあてている。どんな悲惨な事件を起こしても未成年者ならばこれまでは被害者に加害者の名前すら知る権利は無かった。そして、重い刑を受けるでもなく更生教育を受け知らないうちに社会復帰している。法律がそうであっても、本当に被害者の立場になったとき納得できるだろうか...?法が裁かないのならば自分の手で復讐してやろうと誰しも思うのではなかろうか?
そこに現れる被害者の思いを晴らす復讐請負人。そこに様々な形で複雑にからんでくるレギュラー4人。そしてこのシリーズの終わりとなる結末。
読むものを轢きこむことは間違いない。ただ、読後重たい気分になった。
この作品は、作者が社会に対して現状のままで良いのかと訴えかけているように思える。
帯には端的にこう投げかけている。「愛する人を殺されても泣き寝入りするしかないのか。復讐は悪なのか。」と...。
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